旅先で突如ビートルのセルが回らなくなった
かつて旅先で、愛車の空冷ビートルのセルモーターが回らなくなり困ったことがある。
さっきまで快調に走っていたのに、休憩して走り出そうとしたらエンジンが掛からない。
セルを回すも「カチッ」という音が小さくするだけで、全くセルが回らないのだ。
バッテリーも交換したばかりだし、セルが逝ったかと思いながら、普段から世話になっているワーゲンショップに連絡した。
そこで2つのアドバイスをもらった。
- イグニッションスイッチの付け根あたりのハーネスを、少しもみながらキーを回してみる。接触不良の場合があるらしい。
- セルモーターのスイッチは熱を持つと電圧が下がり、時に作動しなくなることがあるので、しばらく休んで熱を冷ましてからもう一度エンジンを掛けてみる。
しかし、どちらも試してみたが症状は変わらないまま。
旅先でもあったため、仕方がないので周囲の人に声を掛け、数人にビートルを押してもらった。いわゆる押し掛けをしたのだ。
押し掛けとは、マニュアル車ならではのエンジンの掛け方で、2速に入れた状態でクラッチを切り、クルマを押してもらって少し勢いのついたところでクラッチを一気に繋ぐという荒業。
するとクランクが回ってエンジンがかかるという仕組みを使った、エンジンの始動方法だ。
オートバイに乗っている人なら、知っている人も多い方法だが、まず現代のクルマでこれをやる人はいない(笑)。
幸いなことにエンジンは掛かったので、そのまま走り続け、その時は難をしのいだ。
エンジンがかからなくなった原因と対策
ついにセルモーターの寿命かとも考えたが、実は空冷ビートルには配線の取り回しにより、こういった症状が出ることがあるらしいことがわかった。
バッテリーとスイッチ、セルモーター間の配線が初期の配線ではとても長いため、配線の劣化などにより電圧が下がり、セルが回りにくくなるそうだ。
このトラブルはある意味、空冷ワーゲンあるあるの1つらしく、対策パーツも出ていた。
要はぐるっと回ってセルに来ている配線を、バッテリーの近くでバイパスさせてやれば、電圧を失うことなく電気をセルに送ることができる。そのためにスターターリレーなる部品をかましてやる。
早速パーツを購入して自分で取り付けてみたら、嘘のようにセルは元気に回るようになった。取り付けもそう難しくなく、付属の取説をみながら自分でもできた。
このスターターリレーはFLAT4のオンラインショップでも手に入る。
BOSCH スターターリレーKIT W/ハーネス(12V用)
12V用と6V用とがあるので、購入時には注意されたし。
電圧の異常上昇に備えて、ヒューズが付いているので、このキットを装着したら予備用のヒューズも用意しておいたほうがいいだろう。
スターターリレーでも解消しない場合は、バッテリーの寿命か、セルモーター自体が寿命ということも考えられる。セルの回りが渋いなと感じてきたら、普段お世話になっているワーゲン専門店に早めに相談して対策を練り、旅先で動けなくなることなどないようにしてほしい。