一度ハマると抜けられない空冷ワーゲンの魅力やその歴史、ユニークな特徴などについて解説します。
空冷ワーゲンの魅力について
空冷ワーゲンの代表モデルであるビートルが西ドイツで誕生して、85年近くが経とうとしています。
ロングセラーモデルのビートルも2003年についに生産中止となりましたが、その間ずっと基本コンポーネンツは変わらぬまま作り続けられてきたのですから驚きです。
ワーゲンには誰もが知っているビートル(タイプ1)の他に、タイプ2、タイプ3、カルマン・ギアなど、その他とても個性的で魅力的なモデルが揃っています。
なんと言ってもエンジンやミッション、その他のボディパーツなどモデルが違えど共通のパーツが使われていたりと、とてもユニークで考え抜かれた作りに感心してしまいます。
ワーゲンは日本や本国ドイツを始め、アメリカやイギリス、オーストラリアなど世界中にファンが存在し、国境を越えてまでイベントに参加する人もいるほどです。
また、これだけ旧いものにもかかわらず、部品もまだまだ手に入るというのも、世界中でワーゲンが愛されている証拠でしょう。
新車で買って一台をずっと乗り続けている人。自分の子供へと2世代に渡って所有している人。はたまた親子でワーゲンに乗って楽しんでいる人など、こんなエピソードを聞けるクルマはそう多くないと思います。
誰しもワーゲンを知れば知るほどハマってしまうのです。
ここでは、ワーゲンのディープな世界に入る入門編として、「ワーゲンに乗ってみたいけど...」と悩んでいるあなたの背中を後押ししていきたいと思います(笑)。
ワーゲンはまるで不思議な生き物のようです。ワーゲンのある生活が始まると、家族が増えたような気持ちになり、価値観も変化し、いつしかゆったりした気持ちになっている自分に気づくことでしょう。
そして、一生忘れられない思い出をワーゲンはきっとあなたに作ってくれます。
ぜひあなたも魅惑のワーゲンの世界に足を踏み入れてください。
フォルクスワーゲン誕生の歴史
フォルクスワーゲンとはドイツ語で「国民車」を意味し、アドルフ・ヒットラーの依頼を受けたフェルディナント・ポルシェ博士が設計し、数々の試作モデルによるテストを経た後、1938年に一応の完成をむかえました。
しかし、第二次世界大戦の勃発により、急遽軍用車として使用されることになり、一般のユーザーの手に渡ることはありませんでした。
終戦の年の1945年になって、やっと市場に出たタイプ1を国民は手にすることができました。
その後、アメリカへの輸出などで瞬く間にタイプ1は世界中に輸出され、やがて日本にも入ってくるようになります(正規輸入は1953年から)。
ちなみに、ビートルとは正式名称ではなくタイプ1の愛称で、アメリカのとある婦人によってつけられたといわれています。
ボディタイプにはセダンとオープンタイプのガブリオレが用意されました。
1950年には商用車として四角い箱型ボディのタイプ2が発表されます。
このタイプ2は救急車や消防車に使用される他、ピックアップ、キャンパー、マイクロバスとさまざまな仕様が用意されました。
1961年にはタイプ1のコンセプトを継承した後継モデルとしてタイプ3が誕生します。
ボディ仕様としてはセダンタイプのノッチバック、クーペタイプのファストバック、ワゴンタイプのバリアントの3タイプがあります。
また、タイプ1をベースにスポーツタイプとして開発されたカルマン・ギアが1955年に登場します。
イタリアのカロッツェリア・ギアがボディデザインをし、ドイツのコーチビルダー(そもそもは馬車を作っていたメーカー)であるカルマン社が生産し、クーペタイプとガブリオレをリリースします。
また、1962年にはタイプ3をベースとしたカルマン・ギアもリリースされます(こちらはクーペタイプのみ)。
その後、タイプ4の他、デューンバギーやバハバグ、スターリンなどキットカーのベースカーとしてアメリカを中心に世界中で空冷ワーゲンは愛用されることとなります。
1978年には最後まで生産が続けられていたタイプ1が本国ドイツで生産中止となり、その後もブラジルやメキシコで生産され日本にも輸入されていましたが、ついに2003年をもって最後まで作り続けられてきたメキシコ製のビートルも生産中止となり、空冷ワーゲンの長い歴史に幕を閉じました。
空冷ワーゲンの特徴
ワーゲンのエンジンは、フラット4と呼ばれる水平対抗4気筒エンジンで、空気によって冷却されるためラジエターを持たない空冷エンジンです。
また駆動形式はRR(リアエンジン、リアドライブ)で、基本的にどの空冷ワーゲンのモデルも同じ形式のエンジンが乗ります。
その後、年式により排気量が増えていきますが、構造上大きな違いもほとんどない為、比較的簡単に旧いモデルにもメキシコ製などの高年式エンジンを載せることができます。
ミッションは4速マニュアルシフトとスポルトマチックというセミオートマタイプがあります。
このスポルトマチックならオートマ限定免許の方も乗ることができるので、「マニュアル免許がないからワーゲンは乗れない!」なんてことはありませんのでご安心を。
基本構造が簡単な為、メンテナンスも簡単なことから1つずつ覚えていけば、かなりのところまで自分で面倒を見ることが可能です。
パーツの互換性も高く、供給量も十分にあるので(リプロダクションのパーツが今なお多く作られています)、パーツ代も比較的安価にて入手可能です。
以上の事から、旧い外車のわりには維持費も抑えることができます。
ただし、マニアも多くいる世界なだけに、当時モノのオプションパーツなどは驚くほど高値で取り引きされているモノもあります。そういったレアパーツを集めていくのもまたとても面白いと思います。
その他、カスタムパーツやアクセサリーなども豊富で、自分だけの一台を作り上げる上で事欠かしません。
元々がシンプルなだけに、こういったパーツの選択によりオーナーの個性が色濃く出てきます。そこはオーナーのセンスの見せどころと言えるでしょう。